宅地建物取引士(以下、宅建)を取る方にはどのような理由があるのでしょうか?
・不動産業界での転職活動を有利に進めたい
・会社で強制的に取るように勧められた
・キャリアアップしたい
などがあると思います。
今回は、頑張って勉強して取得した宅建がどのようなメリットをもたらすのかについて、以下の観点から解説致します。
・宅建を取得することで転職が有利に働くのか
・宅建を取得していない人よりも年収は高くなるのか
宅建をこれから取得するという方も、是非一度ご覧下さいませ!
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なぜ宅建士は不動産業界において重要な存在なのか
宅建取得者のメリットをお伝えする前に、なぜ宅建士が不動産業界において重要なのか理解しましょう。
宅建士は不動産業界においてなくてならない存在です。それは単に知識とスキルが豊富だからという理由だけではありません。次のような理由から、宅建士がいないと不動産業が成り立たないのです。
1.専任の宅建士を置かなければならなない義務がある
「宅建士」は不動産取引に関わる国家資格で、「宅建業法」において詳細が定められています。
宅建業法には、不動産取引に関わる宅建業を営むためには、宅建業従事者5名のうち1名は専任の宅建士でなければならないという規定があります。そのため、不動産会社の本店、営業所には必ず専任の宅建士が従事しなければならないのです。
不動産会社を設立する際にも、宅建士が必ずいないと設立できません。
2.宅建士でなければできない業務がある
皆さんも、賃貸マンションや賃貸アパートを借りるときには、宅建士の重要事項説明を受けた経験があるかと思います。
不動産取引には宅建士が立ち会い、宅建士証(運転免許証のようなカード)を契約者に提示して、宅建士の記名押印の入った重要事項説明書を説明しなければならないということが宅建業法で定められています。
したがって、不動産賃貸、不動産売買などの契約の際には必ず宅建士が立ち会います。
3.宅建の試験内容が業務内容に直結している
さらに、不動産業界に転職した後も、宅建士の試験内容はそのまま業務知識として生かされます。
駅前から街を散歩するとある区画から急に高い建物がなくなっている、ということに気づいたことがないでしょうか?それは、都市計画法に基づいて街の区画ごとに用途地域が定まっているために、建てられる高さの上限が決まっているからです。
このような内容は宅建士の試験範囲であるとともに、役所調査や現地調査をして契約書や重要事項説明書を作成する際に必須となる知識なのです。
知識の有無によって、重大なミスが起きてしまうこともありますので、宅建取得者は不動産業界において知識がある人という面でも重要になってきます。
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不動産業界は宅建の取得/未取得で年収の差があるのか
では次に、不動産業界で働く人々の年収が、宅建の取得/未取得によって差があるのかについて紹介致します。
そもそも宅建を取得するとどのような仕事ができるようになるのでしょうか。
宅建を取得するとできること
宅建を取得することで下記の業務ができるようになります。
・重要事項の説明
・重要事項説明書(35条書面)への記名・押印
・契約書(37条書面)への記名・押印
逆に言えば、宅建を保有していない人は上記業務を行うことができません。
重要事項の説明は、不動産の契約時にかかせない業務となりますので、例えば宅建を保有していない人が不動産を販売したとしても契約業務が行えず、結果宅建取得者が契約業務を行います。
そのため、宅建事務/契約事務と呼ばれる、重要事項の説明や、重要事項説明書・契約書の作成業務を行う職種もございます。
営業として勤務した場合、宅建を取得することによって初めて入り口から契約まですべての業務が行うことができるでしょう。
不動産業界は宅建の取得/未取得で年収の差があるのか?
結論として、不動産業界ではお給料にインセンティブ制を取り入れているため、宅建取得者/宅建非取得者で年収が変わることはあまりありません。
その年度においての不動産販売件数が、宅建取得者A より宅建未取得者B の方が10件多ければ、宅建未取得者B の方が年収が高くなります。
しかし、年収アップやキャリアアップを見据えて転職活動を行う際には宅建を活かすことができます。なぜならば宅建を持っていることで不動産業界での転職が有利になるからです。
不動産業界特化型転職エージェントが解説!宅建は転職において有利になるのか
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また、役職に関しても宅建取得者じゃないと就けない…というわけではありません。しかし、不動産会社にお伺いしてお話を聞くと、役職に就いている方やTOPセールスの方は宅建を取得している方が多いです。
そのため、不動産業界で稼ぐためには宅建をすぐにでも取得しないといけないわけではありませんが、これからのことを考えて取得に向けて動いておくのがおすすめです。
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結局宅建を取得しても年収は上がらない?
ここまで記載してきた通り、宅建を取得したからといって年収が宅建未取得者より高くなるわけではありません。しかし、固定給としてみると、宅建士は年間で約40万円ほど宅建未取得者より年収が多くもらえます。
その理由は、宅建手当が最大月3万円支給されるためです。
「なぜ宅建士は不動産業界において重要な存在なのか」でもご紹介した通り、採用活動を行うにあたって、5人に1人の宅建士が必要ということは常に頭に入れておかなければなりません。また、営業が沢山不動産を販売してきても契約業務を行える人がいないかぎり自社で完結できなくなってしまいます。
そのため、宅建士は多くの企業より選ばれやすい存在となり、企業としては数ある企業の中で自分の会社を選んでもらうために宅建手当を福利厚生に入れているのです。
その額が大体1万円~3万円となっており、年間にすると36万円!もしその企業で3年間勤務した場合は、宅建を取得していない人との固定給の差は108万円に及びます。
このことから、不動産営業において年収の差は宅建取得者/未取得者で変わりがないものの、固定給換算した際には宅建取得者の方が年収が高くなります。
もちろん宅建手当がでない企業もございますので、折角宅建を取得したのであれば、是非宅建手当がでる企業を選んでみてはいかがでしょうか?
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不動産業界に転職後の業務内容
では、宅建士が不動産業界に転職すると、どのような業務に携わるのでしょうか。不動産業界はおおむね、以下のような業種に分かれます。
1、 不動産賃貸仲介
2、 不動産売買仲介
3、 賃貸管理(リーシング、プロパティマネジメント)
4、 不動産開発(不動産ディベロッパー)・販売
5、 不動産ファンド
6、 その他(店舗開発、財産管理など)
ではそれぞれについて見ていきましょう。
不動産賃貸仲介
皆さんにとって最も身近な不動産会社は不動産賃貸の仲介会社でしょう。
駅前の不動産屋さんで賃貸物件の仲介を行ったり、賃貸物件紹介サイトに掲載される資料を作成したりする業務です。比較的若い方が多く、男性、女性問わずたくさんの方が業務に携わっています。
特に宅建士の業務というと、重要事項の説明業務です。物件の案内などは資格保有者でなくてもできますので他の従業員にお願いして、契約手続きのみを宅建士が行う、というように役割分担がなされているケースがほとんどです。
不動産賃貸の仲介業務は何も住宅のみではありません。店舗や飲食店、オフィスなども含まれます。
金額も高額になり、都心の広いオフィスだと保証金だけで数千万円というケースも珍しくありません。
不動産売買仲介
不動産を売りたい人と買いたい人の間に入って、契約交渉手続き、そして契約手続きから引渡までの一連の流れを担当します。
賃貸仲介よりは契約規模も大きくなり、投資用の一棟マンションだと10億円を超える取引になることも多いです。
取引額が大きくなるにしたがって、考慮してなければならない事情や法律関係が複雑になってきます。
転職後、業務経験なしにいきなり大きな売買業務を任されることはありませんが、知識やスキルを積めば、ダイナミックな不動産取引に出会えることでしょう。
不動産管理(リーシング・プロパティマネジメント)
不動産の所有者から物件の管理を請け負います。
日常の賃料督促業務や物件管理業務のほか空室が出た場合はテナントを募集して契約する業務を担います。
小さな物件だと街の不動産屋さんが行うケースもありますが、大きなマンションや商業施設になると、専門のプロパティマネジメント会社が管理を請け負います。
不動産開発(不動産ディベロッパー)
更地を開発して戸建、マンション、店舗、ビルなどを建設して購入希望者に売却する一連の業務を各担当に分かれて行います。
通常、企画部(土地仕入担当)、設計・商品開発部(建物の設計や設備仕様の決定)、営業部(広告・販売営業やモデルルームの運営)、業務部(物件の引渡しや住宅ローンの手続き、登記手続など販売後の業務をサポートする)などに分かれて、不動産開発を行います。
どの部署においても、宅建士の有する知識は必須です。
不動産ファンド(アセットマネジメント)
不動産ファンドのマネジメント業務は今まで説明した不動産業務のほとんどを含んでいます。
宅建士は、不動産の稼働状況を見ながら各業務の専門家と連携をとりつつファンドをマネジメントします。
弁護士、税理士・会計士、司法書士、不動産取引・不動産管理における専門家など、ファンドに関わる従事者の真ん中に立って連絡・調整業務をこなします。
不動産に関する幅広い知識・スキルのほか、会計業務、法務、金融にも長けていることが必要であるため、証券アナリスト、不動産鑑定士など複数の資格を保有している方も多いです。
その他(店舗開発、財産管理など)
不動産会社のほかにも宅建士が活躍する業種はたくさんあります。
まずは、コンビニエンスストア、飲食店やカフェ、ドラッグストアなどの店舗開発の業務です。
これらは立地が売り上げの決定的な要因になるために、不動産の知識が不可欠です。もちろん、不動産売買や賃貸の業務が多く絡んでくることから、これらの業務は宅建士が担当します。
また、大企業で工場や倉庫、店舗やビル、社宅など多くの不動産の資産を持つ会社は資産を管理する部署があります(管財課など)。このような部署で働く方は日常的に不動産に関わる業務を行いますので、宅建士の出番となります。
宅建士の求人はますます増加。宅建手当で年収アップも!
従来の不動産業務のほか、最近ではDX(デジタル・トランスフォーメーション)の動きが加速しており、不動産テックといわれる新興企業も増えています。
また一般企業や金融機関においても不動産に関連する職種がたくさんあります。世の中に土地と建物がある限り、宅建士は必要とされ続ける人材なのです。
皆さんも不動産業界への転職を考えるときには、宅建士の取得を目指してみてはいかがでしょうか。
不動産会社が設立されるにつれて宅建士のニーズも高まるでしょう。一方宅建試験の合格率は15%。さらに毎年難しくなっているという話も出てきておりますので不動産会社は増加する一方宅建士の数は減少する可能性も出てきます。
宅建士を採用したいニーズのある企業が、宅建手当や宅建士の年収を上げることによって自社を選んでくれるようにすることもありますので、宅建を持っておくことはプラスにはたらくことでしょう。
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