確かに営業職ではインセンティブ制度を導入している会社が多く、高い成果を出せれば若いうちから年収1000万円以上を達成することも十分に可能な業界です。
しかし、不動産業界にもさまざまな職種があり、会社の数も多いため、就職先によって待遇が大きく変わることがあります。
特に大手と中小企業でどんな違いがあるのか、気になる人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、不動産業界における中小企業の特徴について、大手企業との比較も交えつつ解説します。
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不動産業界の年収事情
初めに不動産業界の年収事情を解説します。年収が高いイメージが強い不動産業界ですが、実際の平均年収はどの程度なのか、事前に相場を把握しておくことが大切です。
不動産業界の平均年収
不動産業界全体の平均年収について、データを元に考えてみましょう。国税庁が2021年(令和3年)9月に発表した「令和2年分民間給与実態統計調査結果について」によると日本人の平均年収433万円であるのに対して「不動産業・物品賃貸業」の平均年収は約423万円となっています。
また、DODAの平均年収ランキングによれば「建設・プラント・不動産」の平均年収は416万円とされています。
トップクラスになれば年収1,000万円以上も狙える不動産業界ですが、平均値を見ると日本人の平均年収よりやや低い数値であり、決して高年収とは言えない状態であることがわかります。
職種ごとの年収の違い
前述したデータはあくまで不動産業界全体の平均年収であり、職種や地域、会社の規模などは考慮されていません。そこで職種ごとの違いを見てみましょう。
DODAの平均年収ランキング「建設・プラント・不動産」の小分類を見ていくと、業界の中でも1位のディベロッパーは平均年収469万円と高く、最下位である設計事務所の平均年収380万円を大きく上回っていることがわかります。
しかし、この実態を見ても、まだ不動産業界が突出して稼げる業界のようには思えないのではないでしょうか。
不動産営業は実力次第で大きく稼げる
平均年収だけを見ると、他の業界と大きな差がないように感じられる不動産業界ですが、営業の場合、インセンティブ制度により大きく稼げる可能性があります。特に不動産売買を扱う場合、取引される金額が非常に大きいため、インセンティブの割合も高くなるケースが多くなっています。
若いうちから年収1000万円以上を稼いでいる人の大半は、基本給だけでなくインセンティブ制度によって成果をあげることで年収を増やしているのが現状です。
したがって、基本給のみを頼りにする場合は突出した年収は得られませんが、営業力に自信のある人ならば、大きく稼げる業界であることがわかります。
※なお、インセンティブ制度の仕組みや相場を知りたい人は以下の記事をご参照ください。
不動産営業のインセンティブとは?制度の仕組みや相場を解説
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中小企業の年収は?会社規模による違いがあるのか
次に不動産業界における中小企業と大手企業の違いについて詳しく解説します。大手と中小企業の違いとは
そもそも大手と中小企業の違いはご存知でしょうか。よく聞く言葉ではありますが、それぞれの違いを明確に答えられる人は少ないかもしれません。
中小企業に関しては、漠然とした印象で決められているわけではなく「中小企業基本法」によって業種ごとに基準が明確に定められています。
【中小企業の基準】
業種 | 資本金 | 社員数 |
製造業・建設業・運輸業 その他の業種 | 資本金3億円以下 | 社員数300人以下 |
卸売業 | 資本金1億円以下 | 社員数100人以下 |
サービス業 | 資本金5,000万円以下 | 社員数100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 社員数50人以下 |
不動産業界は上記の中に記載がありませんが「サービス業」に該当します。
中小企業以外の会社のことを大企業といいますので、不動産業界の場合、資本金5,000万円超、社員数100人超の会社であることが条件になります。
しかし、大手企業と大企業は、言葉は似ているものの意味合いが異なります。
一般的に大手企業は大企業であり、なおかつ業界の中で規模や知名度などが上位に入る企業を指します。
不動産業界は会社の数も多いため、大企業の条件を満たす会社は数多く存在しますが、その中でも大手と呼べる会社は希少です。(たとえば、三井不動産、三菱地所、住友不動産などが該当します)
不動産業界における大手と中小企業のメリット・デメリット(年収面)
大手企業は一般的に年収が高く、経営も安定していますが、中小企業にも大手企業にはないメリットがあります。そこで不動産業界における中小企業のメリット・デメリットを以下にまとめました。
中小企業にもさまざまな会社があるため、一概には言えませんが、大企業より規模が劣り従業員数が少ない分、実力があればすぐに責任ある仕事を任され、若いうちから出世しやすい傾向があります。
また、インセンティブの割合が高めなので、成果さえあげれば大手に負けないほどの高い年収を得ることも可能です。
一方、大手企業は基本給が高くインセンティブが低めなので、安定した収入を得たい人向きといえます。
大手で勤めている中で、こんなに成果を挙げているのに年収に反映されないといった悩みがある方は、インセンティブ率が高い中小企業への転職を検討してみてもいいかもしれません。
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不動産会社を選ぶポイントとは
最後に不動産業界で転職をする場合、会社を選ぶポイントを解説します。 転職で成功するためには、大手と中小企業の違いを知ったうえで、自分に向いている会社かどうかを見極めることが大切です。自分に適した職種であるか確認する
不動産業界にはさまざまな職種があります。職種によって行う仕事内容や年収などが大きく異なるため、自分に向いている職種が何か、よく考えて転職を検討する必要があります。
営業職の中でも、主に以下の種類があることを覚えておきましょう。
・不動産デベロッパー
・不動産売買仲介
・不動産賃貸
・不動産管理
同じ営業職でも法人営業、個人営業の違いがあるほか、扱う物件や必要な知識なども異なります。 もし自分の適切な職種がわからない人は、前もって転職エージェントなどに相談することをおすすめします。
インセンティブや営業ノルマの有無
不動産売買・仲介営業の場合、インセンティブ制度を採用している会社が多くなっています。インセンティブ制度は成果をあげれば高い給与が得られる反面、基本給は低く設定されているケースがあるため、営業の実力によって給与に大きな差がつきやすく、向き不向きがはっきり分かれる職種といって良いでしょう。
また、営業ノルマを課せられることも多いため、精神的なプレッシャーが大きいのも事実です。
一方、不動産管理会社では個人ごとにインセンティブやノルマを課すことが少ないため、安定した給与を得やすい傾向にあります。
しかし、インセンティブによる加算がないため、成果をあげて高い年収をあげるのは困難な職種といえます。
有給取得・平均残業など労働環境の把握
ワークライフバランスを重視する人は、有給取得や平均残業など労働環境を事前に把握しておくことが重要です。元々、不動産業界は残業や休日出勤が多い傾向にありましたfが、近年は働き方改革などの影響もあり、改善傾向にあります。
ただし、OpenWorkが調査した「日本の残業時間 定点観測 <四半期速報>」(2021年7月〜9月時点)によると、不動産・建設業界の月間平均残業時間は32.93時間であり、数年前より減少はしているものの、他業界と比較して多い傾向にあります。
労働環境に関しては面接で確認するのではなく、転職エージェントなどを通して確認することも可能なので、できれば事前に把握しておくことをおすすめします。
不動産業界では大手と中小どちらがおすすめ?
一般的に大手と中小企業と聞くと、大手のほうが給与や労働環境などが恵まれているイメージが強いでしょう。しかし、中小企業は任される仕事の範囲が多かったり、若いうちから出世できたり、大手にはないメリットがあるのも事実です。
特に不動産業界で将来独立を目指す人は、さまざまな経験を積むためには、中小企業で責任ある立場で働くことが良い機会となります。
ご自身の適性や将来のことを考え、最適な就職先はどんな会社か、よく考えて判断することが重要です。
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