不動産営業と聞くと稼げる仕事というイメージを持つ人が多いでしょう。

しかし、なぜ稼げるのか、どのような給与体系で稼いでいるのかはよくわからないのではないでしょうか。

稼げる営業は契約をすることで多くのインセンティブを得ています。

そのインセンティブや様々な給与体系について詳しく説明するとともに、具体的な年収シミュレーションをご紹介します。

不動産の営業に興味のある人や、稼げる仕事について知りたい人はぜひこの記事を参考にしてみてください。




 

不動産営業におけるインセンティブとは?

不動産営業におけるインセンティブとはどのようなものなのでしょうか。

まずは歩合やインセンティブの意味やインセンティブと固定給料との違いについて説明します。

 

歩合・インセンティブの意味

「歩合」と「インセンティブ」の意味はほぼ同義だと考えて大丈夫でしょう。

「歩合」は営業成績である売り上げに応じて賃金が決まる制度のことであり、「インセンティブ」は営業目標を達成した時に支払われる報奨金という意味で使用されます。

つまり「歩合」や「インセンティブ」は営業成績を上げることにより固定給以外で支払われる給与のことです。

 

固定給料との違い

次に固定給料との違いについて説明します。

インセンティブと固定給料は全く異なるものです。 固定給料は毎月固定されている給料で、営業成績(売上)に関わらず毎月決まった金額の給料が支払われます。

一方、インセンティブは営業成績に応じて支払われる給料です。

例えば、売上がゼロであればインセンティブもゼロ円となり、ここが固定給料と異なる点です。


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不動産営業における主な3つの給与体系

ここからは、不動産営業における給与体系について説明します。

不動産営業の給与体系として多いのが、以下3つのパターンです。
・完全固定給
・固定給+インセンティブ
・インセンティブのみ(完全歩合制)

不動産会社によって細かな内容が異なりますので、詳細は面接の段階で確認しておくことをおすすめします。

それでは詳しくみていきましょう。

 

完全固定給

1つ目は完全固定給です。

毎月決まった固定給が支払われ、インセンティブを含まない給与体系です。

売上などによって給与が変動することがなく、安定した給与体系といえるでしょう。

不動産営業はインセンティブを取り入れている会社がほとんどですが、固定給のみを支払う会社も稀にあります。

不動産業界の営業職で考えると、不動産賃貸の仲介業などで完全固定給の給与体系を採用しており、このような会社は毎年の昇給や、資格手当を手厚くしている場合が多くあります。

しかし、どんなに営業で成果を上げようとも、毎月の給与は同じであるため、不満に繋がる可能性もあるでしょう。

例えば
「頑張っても給与に反映されていない」
「営業成績が良くない社員と給与が同じ」
「 あまり仕事をしないベテラン社員が高い給与を貰っている」
というものです。

自分がモチベーション高く働けそうな給与制度になっているか確認してみましょう。

 

固定給+インセンティブ

2つ目は固定給にインセンティブを組み合わせている給与体系です。不動産営業では最も多くみられる給与体系だといえるでしょう。

この給与体系は、毎月決まった固定給があるため、万が一売上を上げることができなくても、最低限の固定給を得ることができるため、安心感を得られます。

一方、インセンティブもあるため、自分の実績では高い給料を得ることが可能なのです。

この給与体系の救済策ともいえる方法として、入社直後から契約を上げることは難しいと考えて、入社後の一定期間は固定給とするといったケースもあります。

ただし、長く目標を達成できない場合に基本給が減額されるといったケースもある点には注意が必要です。

不動産営業への転職を考えている方は、給与制度は事前にしっかりと内容を確認しておきましょう。

 

インセンティブのみ(完全歩合制)

3つ目はインセンティブのみ、つまり完全歩合制の給与体系です。 給料の全てがインセンティブのため、固定給がありません。

固定給があるタイプより歩合率が高く設定されており、学歴や勤続年数に関わらず成果次第で大きなリターンを得ることが可能です。

自分の営業力に自信があって高収入を狙いたい人にはおすすめの給与体系です。

完全歩合制の場合は雇用形態が正社員ではなく、業務委託契約の場合もありますので、正社員としての雇用を希望している人は注意しましょう。

また完全歩合制は不動産会社にとってもメリットがある給与制度です。 つまり、成績を上げた社員にだけ利益還元できるため、モチベーション高く働いてもらうことができます。

また、成績を上げていなければ、報酬を支払わなくても良いため、不動産会社にとってはリスクが少ない給与制度だといえるでしょう。

 

不動産営業におけるインセンティブの相場

次に不動産営業におけるインセンティブの相場について説明をします。

会社によりインセンティブの割合が異なりますし、同じ会社でも営業成績次第でインセンティブの割合が変わることが多いですので、細かな点まで事前に確認しておきましょう。

ここでは、下記の給与体系の場合のインセンティブの相場を見ていきたいと思います。
・「固定給+インセンティブ」
・「インセンティブのみ」

 

固定給+インセンティブの場合

一般的に固定給が高ければ、インセンティブの割合は低く、その逆で固定給が低ければ、インセンティブの割合は高い傾向にあります。

それでは不動産仲介営業の求人の募集要項の事例を紹介します。
① 固定給30万円+インセンティブ5%
② 固定給20万円+インセンティブ15%
③ 固定給10万円+インセンティブ25%

大手の不動産会社は会社のブランド力があり、営業活動をしやすい環境にあるため、固定給を高め、インセンティブを低めに設定している会社が多いようです。

そして、インセンティブの支払いを毎月の固定給に上乗せではなく、ボーナスとして一括で支給する会社もあります。

一方で中小の不動産会社は会社のブランド力を使った営業展開が難しいため、固定給を低め、インセンティブを高めに設定することで、積極的な営業活動に期待する会社が多いようです。

高収入を狙うなら、インセンティブが高い会社を選びましょう。

 

インセンティブのみの場合

インセンティブのみの場合は固定給がゼロの為、インセンティブの割合が最も高くなります。

売上に対し50%のインセンティブを払う会社もあります。 その場合は「固定給0万円+インセンティブ50%」です。

例えば不動産売買仲介の仕事で、6,000万円の不動産を1件仲介すると仲介手数料は約3%で180万円になります。 その50%がインセンティブと考えれば90万円が報酬です。

同じペースで毎月契約をしていけば1ヶ月の報酬90万円×12カ月=年間報酬は1,080万円 となり、1,000万円を超える報酬を手にすることが可能です。

オフィスビルや事業用地など高額な取引となる物件もありますので、自分の営業力に自信がある人はぜひインセンティブのみの営業にチャレンジしてみてください。

最も、高収入が狙いやすい働き方ですが、契約が取れなければ、収入も途絶えてしまいますので注意が必要です。


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不動産営業における年収シミュレーション

最後に不動産営業における年収シミュレーションを紹介します。

前提条件は下記の通りです。
・不動産仲介営業
・固定給25万円+インセンティブ
・月毎の売上(仲介手数料の額)に応じて歩合率が変動する

 
月毎の売上(仲介手数料の額) 歩合率
100万円未満 5%
100万円以上 10%
150万円以上 15%
200万円以上 20%
 

年間60件成約した場合

月の仲介手数料売上75万円

75万円×5%=インセンティブ3.75万円(月間)

年間での固定給は300万円、年間でのインセンティブは45万円となり、年収は345万円となります。

不動産業の平均給与と比べてみてもかなり低い水準です。

ちなみに国税庁のデータによると、全体の平均給与は約433万円、不動産業の平均給与は約423万円となっています。
参考:国税庁(民間給与実態統計調査 令和2年分調査)

 

月の売上が150万円だった場合

月間の仲介手数料売上150万円 150万円×15%=インセンティブ18万円(月間)

仮に1年間同じ成績だった場合、年間での固定給は300万円、年間でのインセンティブは240万円となり、年収は540万円となります。

この程度の水準になると、平均給与より多くの給料を貰えることになります。

20代のうちにこの給与だった場合は、同年代と比較すると高年収と言えるでしょう。

 

月の売上が300万円だった場合

月の仲介手数料売上300万円 300万円×20%=インセンティブ60万円(月間)

仮に1年間同じ成績だった場合、年間での固定給は300万円、年間でのインセンティブは600万円となり、年収は900万円となります。

この程度の成績を継続して納めているのであれば、役職がつくなどして、固定給が上がることや役職手当がもらえるでしょう。

仮に固定級が35万円になれば、固定給420万円+インセンティブ600万円=1,020万円と、1,000万円を超える年収となります。

 

まとめ

不動産営業のインセンティブや給与体系について説明をしてきました。

稼げる仕事というイメージが強い不動産営業ですが、どのような給与体系で稼いでいるのか理解できましたでしょうか。

給与体系によっては稼ぎやすさは違いますが、稼ぐ営業は多くの契約をすることで高額なインセンティブを得て、高額な収入を実現しています。

給与制度は不動産会社によって異なり、細かく設定されておりますので、入社前にしっかりと確認することをおすすめします。

不動産業界への転職に興味がある人は、この記事に書いてあるインセンティブの相場や具体的な年収シミュレーションをぜひ参考にしてみてください。


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