不動産営業への転職は、広く門戸が開いているため、若手のビジネスマンがキャリアの転換を考えるときに未経験者も検討する価値があるとされています。
不動産営業の仕事は幅が広く、多種多様であるため、なかなか経験者を求めるのは難しい面があること、他業種で培ったスキルも不動産営業に活かすことが可能と考えられているためです。
そこで、この記事では、主に若手の未経験の方に向けて、不動産営業への転職ガイドをお伝えします。転職のためにキャリアの棚卸をしたい方、具体的に一歩踏み出したい方にお役に立てる内容ですので、ぜひご参考になさってください。
1.【不動産営業への未経験からの転職】まず業界・職種の知識をつけよう
不動産営業へ、特に20代~30代の方が未経験から転職することは可能です。
まず不動産営業への転職にどのような選択肢があるのか、仕事内容・種類からご紹介します。
1-1.不動産営業 どんな種類があるの?仕事内容や働き方は?
不動産営業は
① 取り扱い物件が売買か、賃貸か、住宅か、事業用の物件か
② 顧客は個人か、法人か
に大別されます。これにさらに、物件管理や、あるいはアセットマネジメント・プロジェクト管理などの営業まで考慮すると、不動産営業と一口に言っても多くの選択肢があります。 加えて、中古・新築、戸建て住宅・マンションないしビル、といった物件の種類別でも専門性が分かれてきます。これらの不動産営業の種別を知っておくと、今後転職の応募先の絞り込みに役に立ちます。
今まで法人向けの仕事をしてきた、という場合は「事業用の不動産営業の方がなじみやすいように思える」といったこともあるでしょう。あるいは個人向けも同様にそれまでの経験でカバーできそうなことがありそうだ、などと自分が活躍できそうな転職先を絞り込めるようになります。仕事内容は「契約を取ってくる」ことを目標とする営業活動になりますが、不動産営業では、個人のノルマと成績は厳しく問われます。 そして、外回り、折衝、書類の作成、連絡調整、関係者との打ち合わせおよびアレンジなど、手と足、口をフルに動かして仕事をすることが求められます。不動産は単価が高いだけに、きめ細かく人とのコミュニケーションを取ることとなります。こうした働き方のため、「不動産営業は一人前になるのが大変」とよく言われることがあります。
その半面、「大変だが、努力でなんとでもなる」「一つ契約が取れるとどんどん取れるようになる」など、一人前になれれば、その後頑張り次第で収入も多くすることができるなどとされ、経験よりも努力が買われる傾向が強い職種でもあります。
1-2.こんな経験は活かしやすい
未経験の方のハードルが高くはないと考えられている不動産営業ですが、対人折衝スキルは必須となるので、すでに他業種での営業の経験がある場合は有利に働きやすいと考えられます。不動産から離れた業界でも、例えば小売や、インテリアなどの生活に密接な関連を持つ業界の営業は、賃貸ないし新築マンションの営業の前職・戸建て営業の前職としては有利に働くことが多いようです。 営業に限らず、対人スキルが問われるマーケティング・カスタマーサービス、あるいは営業アシスタントからのステップアップでも、チャンスは十分にあると考えられます。さらに、女性も活躍が期待できるのが不動産営業です。生活者目線での物件案内や、きめ細かい生活への配慮から、物件選びのサポートもしながら営業をする女性の活躍は、時折マスコミなどでも紹介されています。
ただし、法人営業と、個人営業では若干対人スキルや商慣習が違う傾向にあることから、法人営業の経験者が個人営業に転向することはあまり多くありませんし、逆もしかりです。BtoB、BtoCの双方のビジネス経験をもつ人が少ない傾向は、営業職全般に言えることで、不動産業界でも当てはまります。
1-3.不動産営業への転職に必要な資格はあるの?
不動産営業に必要な資格は普通自動車第一種免許が必須で、宅建(宅地建物取引主任者)の資格は入社時には必ずしも求められないことが多いでしょう。そのため、入社前に絶対に持っておくべき、とまでは言えません。ただし、入社後慣れない業務の中、資格試験の勉強をすることの大変さを指摘する経験者の声もよく聞かれるところです。余裕がある時期を見つけて勉強しておき、転職に備えることが可能であれば早めに受験しておき、転職後は業務に専念することも検討しておきましょう。
1-4.不動産営業への転職 転職先の検討 待遇・働き方から考えてみよう
不動産営業への転職を検討するうえで、次のステップは転職先の検討になります。先ほどご説明したように、不動産営業のうちどんな物件を対象とするのか、あるいは顧客は個人か、法人か、ということは転職先の検討のためには重要な要素になります。さらに、もっと具体的に転職先の絞り込みをする場合に、待遇はカギになります。 一般論として、不動産営業の待遇は、基本給こそ抑えられているものの、成約によるインセンティブは単価の高い商品を扱うだけに非常に高い金額となります。低めに抑えられている基本給と、事務職なども足した平均額になることから、不動産業界全体では400万円台前半と、サラリーマンの平均給与額とあまり変わらない額になるとされています。
しかし、営業職だけを考えてみると、不動産業界は40代で1000万円以上を稼ぐ営業マンも極めて多い業界です。特に大手の不動産会社では、日本の給与ランキングの上位に顔を出す会社も少なくなく、また40代以降での平均給与がより他業種・中小の不動産会社よりも高くなる傾向も指摘されています。 転職してから1件目の成約まで時間がかかることも多いため、転職当初から高給を狙う、というのは難しいとされるのが一般的です。しかし、努力とやる気があればどこまでも稼げる、とは現役の不動産営業マンからの声でもよく聞かれるところです。
これに対して、大手の不動産会社では、インセンティブによる歩合給が少なく、固定給が大きな割合を占めます。半面、固定給が1000万円以上を超えることもあるのが大手の魅力です。自分は、バリバリ歩合給を多くする働き方をしたいのか、あるいは、大手で収入を安定させたいと思うのか、どちらの働き方が合っているのか。また、市場の情勢や、自分のパフォーマンスにより、給与にばらつきがあってもモチベーションを保つことができるか。
このような視点で将来に向けて生活設計とともに見極めておくと応募先企業とのミスマッチをある程度防ぐことができます。
2.未経験からの不動産営業への転職 面接・書類対策は?志望理由をどう書くの?
未経験の方が不動産営業へ転職する場合、キャリアの棚卸は必須です。キャリアの棚卸を行うには、職務経歴書や志望理由をまとめてみるのが近道です。今までの仕事の内容、そこで得た成果と成果を示す数字情報(個人の成果か、チームの成果かも一度考えてみましょう)、どうやってその成果が得られたのか(どんな苦労があり、どう克服したか・工夫したのはどういう点か)を整理してみましょう。
成果に至るまでの過程の説明は最低限考えておき、職務経歴書などの応募書類に書いておきたいものです。不動産営業は、ノルマもあり、個人の成績が厳しく問われる業界なので、どこまでが自分の成果であり、チームの成果はどこまでなのか、という点は自身の実力の見極め・転職先での目標設定のためにも考えておくとよいでしょう。さらに、志望理由についても検討をしておきましょう。なぜ、不動産営業を志望するのか、自分のどんな能力が活かせて会社に貢献できると考えているのか、5年後どうなっていたいのか、10年後どうなっていたいのか、について考え、志望理由をまとめておきましょう。
前職から転職する必要性が見出せない、あるいは、消極的な理由のみで転職してしまう、といったことが応募書類から推測されてしまうような内容になっていないかもチェック対象です。不動産営業でこういう成果を上げて、企業とお客様にどのように貢献したいのか、ぜひ前向きな視点からの転職理由・志望理由のまとめをしておきましょう。
3.まとめ
不動産営業は、人によっては「きつい、大変」との声が聞かれることがあります。反面、個人の努力で大きなやりがいを見出せる実力主義の仕事です。この記事でおすすめしたキャリアの棚卸をきっかけに、未経験からもチャレンジ可能な不動産営業への転職をあなたも検討してみませんか?