一般的に稼げるイメージの強い不動産営業職の仕事――。
不動産業界の他の職種に比べ、未経験者でも活躍ができる不動産営業職ですが、転職する際に「不動産営業職」として考え、取り扱う不動産について転職時にあまり深く考えていらっしゃらない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

不動産営業で取り扱う商材には、大きく分けて購入者本人が住宅として使用するための実需用不動産と、投資家が家賃収入を得るためにマンション等を購入する投資用不動産の2つが存在します。

営業の立場から見たとき、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?
本記事では、不動産業界への転職を考えている人へ向けて、実需用不動産営業と投資用不動産営業の違いについて解説します。


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実需用不動産営業と投資用不動産営業の仕事内容

それではここからは実需用不動産営業と投資用不動産営業の違いについてご説明していきます。まずは仕事内容の違いについてです。

 

●実需用不動産営業の仕事内容

実需用不動産営業の仕事内容は、主にある特定のエリアで家を探しているお客様とそのエリアにある物件をマッチングさせることです。お客様はこれから生活をしていく家、「住む家」を探しているお客様となります。家族が増えて…や結婚を機に…など1人だけで購入を決めるのではなく、ご自身以外に意見を聞く人がいる場合が多く、意思決定までに少し時間がかかることが特徴です。

業務内容は、以前お問合せを頂いた方へのお電話や店舗に来店された方の対応、商談、内覧対応、購入時のローン対応や契約対応となります。商談ではお客様のご要望を聞いた上で条件に合う物件を実際に案内するため、外回りの仕事が多いのも特徴です。

余談にはなりますが、実需用不動産営業の経験者によると不動産営業と恋愛は少し似ているところがあり「お客様のご希望を聞き、その希望にあったものを紹介する」という点では、結婚相手を探している方に対してマッチングする方を探すのと似ているかも!とのことです。まずは絶対に外せない条件や理想の条件を聞き、絞られた中でいかにお客様のご要望を満たしたご案内ができるかが重要です。そのためには幅広い物件をあらかじめ頭の中に入れておくと、ご希望の条件を伺った後スピーディーに「それでしたらおススメの物件ありますよ!」とご紹介ができ、お客様からより信頼して頂くことができます。

恋愛で例えると、
必須条件:年収いくら以上、車が運転できる、八王子から調布付近に住んでいる
理想の条件:料理が得意、身長が自分より高め、犬が好き

これを不動産に変換してみると
必須条件:予算4,000万円以内、駐車場付き、都下エリア希望
理想の条件:キッチン3口コンロ、バルコニー付き、ペット可

といったような感じです。恋愛で理想のタイプを伝えたときに「ドンピシャの知り合いいるよ!取りあえず会ってみない?」と言われると展開が早くなりますよね?不動産営業でも同じように、「ドンピシャの物件あります!今から内覧行きませんか?」と言われるとスピーディーに物事が進み、契約までの期間が早くなります。

ただ、会ってみたけどちょっと違った…ということがもちろん物件でもありますので、如何に詳しくご要望を聞き出せるかということがとても重要になってきますし、もし「ちょっと違うかも…」という表情をお客様がされたりそのような声が上がった場合には「何が違ったのか」について詳しく聞き出すことが大切です。
 

●投資用不動産営業の仕事内容

投資用不動産営業の仕事内容は、資産運用を考えているお客様に対しマンションなどの投資用不動産をご案内することです。投資用不動産は国内だけでなく、海外の不動産も取り扱うことがございます。投資用不動産を購入されるお客様は実需用不動産とは違い、住むことが目的ではなくその不動産で収益を出すことが目的となってきます。そのため、お客様が提示する条件も変わってきますし、実需用不動産のお客様に比べて不動産にある程度詳しい方が多いです。

投資用不動産営業も実需用不動産営業と同じように業務内容はお問合せを頂いたお客様へのお電話や商談メインとなってきます。ただ、実需用不動産と違い内覧をする必要がないこともございますので、外回りは実需用不動産営業ほど多くありません。その代わり、収益シミュレーションを作成するためにお金に関する知識が必要になってきたり、ご提案する物件がある地域の地価や将来的に人口がどうなっていくのかを調べたりと幅広い知識が必要になってきます。

実需用不動産営業の仕事内容の余談部分で、「不動産営業と恋愛は似ており、実需用不動産営業の仕事は結婚相手を探している方に対してマッチングする方を探すのと似ているかも!」と記載させて頂きました。実需用不動産営業は条件を詳しく聞いてその条件にマッチングする相手(不動産)を如何にスピーディーに相手を理解してご紹介するかが大切となってきます。一方、投資用不動産営業を恋愛と当てはめると実需用不動産営業と変わってきます。投資用不動産営業では「結婚は早めにしたいと思っているけど特に条件はないから、いい人がいたら紹介して」といった形で条件は厳しくないのですが、「いい人」をどうその人に「いい人」と思ってもらえるかが大切になってきます。

実需用不動産営業と違いエリアも限られておらず、条件も絞られていないため、探せば国内だけではなく海外まで提案することができます。絶対的条件として「収益が出るもの」が入ってきており、知識もあるため見る目はとても厳しいですが、しっかりと収益がでることが分かればその物件を見ることなくその場で契約をして頂けます。資産運用される方はご自身の判断だけで行えることが多いことが多く、また自分自身の判断や直感をとても大切にしている方が多いため「これは良い物件だと思う」と感じたら即決される方も多いのです。


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実需用不動産営業と投資用不動産営業の魅力


営業職全体的で見ると大変なイメージもある仕事ですが、その分契約を獲得したときの達成感や喜びはとても大きいです。一度営業で成果を挙げると楽しさを忘れられず、ずっと営業職を希望したり管理部門に異動となると営業職での転職を希望したりすることも。では、実需用不動産営業と投資用不動産営業にはどのような魅力があるのでしょうか?実際に実需用不動産営業と投資用不動産営業の2つを経験しているセールスから話を伺ってきましたのでご紹介致します。

 

●実需用不動産営業の魅力


数ある実需用不動産営業の中で、特に感じた実需用不動産営業の魅力を2つご紹介致します。

1.お客様との繋がり
1つ目の実需用不動産営業の魅力はお客様との繋がりです。
実需用不動産をお客様は契約した後その家に住むことになりますので、生活動線やどんな家具を置こうかなども含めて家選びを行います。そのため、内覧をしながら「ここで料理されている間にお子様の声が良く聞こえますよ」「スーパーは2つあって、値段が安いのはこちらのスーパーですがご家族でスーパーを回るのであればもう1つのスーパーの方が広々とお買い物できますよ」などと余談も含めてご紹介することもあると思います。そうすると、ご契約後その家にお客様が住まれて少し経ったときに「あなたが言っていたように料理中でも子供と会話が弾んでいます」という声を頂くことができるそうです。

それ以外にもお客様から良かったら是非新居に遊びに来てくださいとお声がけ頂くこともあるそうで、一緒に悩んで悩んで決めたその瞬間に一緒に立ち会えたからこそ達成感を一緒に味わうことができ、結果お客様との繋がりができるとのことでした。


2.販売エリアに関する細かい知識が身に着く
2つ目にご紹介したい実需用不動産営業の魅力は販売エリアに関する細かい知識が身に着くことです。
実需用不動産の場合、不動産をご案内することだけではなく、先程も記載した通り生活動線のことも含めてご説明をしていきます。一流のセールスともなれば、幼稚園や小学校までのルートや出退勤時付近のバスの時刻表を調べたり、近くのスーパーや薬局のお得情報を提供したりすることもあります。紹介している不動産の最寄り駅だけではなく、働いている場合はオフィスまでの行き方をお伝えするための電車の乗り換え情報や付近の高速道路情報までご説明することもあるそうです。それも全部経験と勉強を重ねることで知識となっており、その知識は「私どこどこ住んでいるんです。」という話をすると「近くにこういう美味しいお店あるよね」と、その地域の美味しいレストランの話が出てくることも。

このように販売するエリアについてかなり詳しく話せるようになることで、デートの時に役立てられることもあるそうです(笑)それだけではなく、営業をする方は人と話すことが好きな方が多く、地域について詳しくなることでより親近感が沸き人と人との輪が広がっていったり一気に距離が縮められることができるのはとても大きな魅力ですね。
 

●投資用不動産営業のやりがいや魅力


それでは次に投資用不動産営業の魅力も2つご紹介致します。

1.知識がある方に認められる嬉しさ
投資を既にご経験されている方だと、不動産投資をしたことがない場合でもしっかりと不動産投資について勉強されていたり、周りも投資家が多いためか不動産投資を既に行っている知り合いから情報を仕入れていたりするため、不動産投資に関する知識も豊富な状態でお話することが多いです。そのような方に対し、セールスとして広く深く不動産投資の知識を蓄積し、知識が既にあるお客様に紹介した際に「それいいですね」と言って頂けたときの嬉しさは投資用不動産営業の大きな魅力です。

投資用不動産営業になってすぐの時は自分の知識とお客様の知識のレベルが同じだったりするとお客様の良い反応を得られなかったり、不動産投資については知識があってもそれ以外の知識があまりなく、お客様から自分はこっちの投資で上手くいっているけどそれと比較してどうなの?そしたら不動産投資にかけるお金を今運用している投資に回した方が良いのでは?という話になってしまったりする場合もありますが、段々と知識を積み上げて、磨いていくことで、自分なりに満足ができ、そしてお客様にもいいね!と言っていただけるプレゼンができた時はとてもやりがいになるそうです。

自分が話したことを知識がある方や自分が凄いなと思っている人に認めてもらえると自分の自信にも繋がりますね。

2.自社を選んでもらった時の喜び
何千万円とする不動産を住むためではなく収益を出すために購入するため、お客様は1つの不動産会社だけでなく、いくつかの不動産会社で話を聞き、比較して投資先や判断しています。もちろんそれぞれの不動産会社で同じ不動産を紹介されていることも多いです。かなり多くの不動産会社があり、色々な不動産をご紹介されている中で、自社を、そして自分がご紹介した不動産を選んでいただけた時は大きな達成感を得られることができるそうです。

如何にこの不動産で収益を生み出せるのか、例えば不動産の立地や周辺情報を説明して「どのような人に貸すことができるのか」をイメージさせるなど、少し自分なりの工夫することにより相手の心を掴むことができ結果自社を選んで頂けることもありますので、自分なりの営業の工夫を入れていくことは大切です。

 

実需用不動産営業と投資用不動産営業の大変さ


どの仕事にも大変さはあります。では実需用不動産営業と投資用不動産営業ではどのような大変さがあるのでしょうか?それぞれお客様の層や販売物件が異なるため、大変さを感じる場面も違ってくるはずです。実需用不動産営業と投資用不動産営業にどのような大変さがあるのか、順に見ていきましょう。

 

●実需用不動産営業の大変さ


儲かるか儲からないかが指標となる投資用不動産営業の場合と異なり、実際に住む不動産を探す実需用不動産営業では、お客様の感情など複雑な要素が絡むこともあります。例えば、治安や雰囲気などのエリアに対するイメージ、お客様の奥様や旦那様、お子様だけではなくお客様の親など、ご家族の意見も購入までの検討材料になり得ます。時には購入に対して反対しているご家族を説得する方法をお客様と一緒に考えたりするほど、乗り越えなければならない壁がたくさんあることが実需用不動産営業の大変さだといえます。

また、投資用不動産営業のお客様は経済的に余裕のある高所得層が多い一方で、実需用不動産は余裕があるから不動産の購入を検討しているとは限りません。ローンの関係などで予算を変更できないお客様も多いためその分幅は狭まりハードルも高くなります。ハードルが高い中で見つけた不動産であっても、一戸建てなどは量産される商品ではなく、その土地とその建物は唯一無二の商品であるため購入のタイミングも重要になり、タイミングを逃してしまうと他に希望にマッチする不動産をご紹介できない状態になってしまうこともございます。慎重になっているお客様やそのご家族に対して、如何にお客様がタイミングを逃すことなく、よりご希望に沿った不動産を購入できるように営業できるかはとても難しくなってまいります。

 

●投資用不動産営業の大変さ


投資用不動産営業の場合、不動産の良し悪しだけでは契約までに至らないことが大変なポイントとなります。情勢の変化やそのエリアで突然なにか災害や事件があると不動産投資を検討されている方は敏感に反応し、不動産自体は凄く良くてもすぐに購入検討から外れてしまいます。なにか情勢の変化などがある場合はいち早くキャッチすることも大切ですし、商談の中でその不安を払拭できる内容をお話できるように準備しておくことも重要になってくるでしょう。そのため、国内海外問わず最新の情報を仕入れておくことと、柔軟な対応をできるようにすることが難しくなってくるでしょう。

 

実需用不動産営業と投資用不動産営業それぞれに向いている性格


まず不動産営業全体として、Wordやパワポの技術などよりも、興味関心を持って家や地域の情報収集を積極的にできることや、相手の話を聞くなど人としてのスキルを持っていることが重要になります。それでは、不動産営業として向いているスキルや技術の他に、取り扱う商材によって各々必要な能力ではなにがあるのでしょうか?

 

●実需用不動産営業に向いている人


実需用不動産営業は人生で一度きりと言われるほどの大きな買い物をサポートするため、購入に慎重になるお客様が多いですが、その背中を押して上げることが大切です。というのも、凄くその不動産を気に入ってくれ、1週間悩ませてください。と1週間待っている間にその不動産がなくなってしまうこともあるのです。そのため、営業をすることをためらわず、ガツガツ営業を進めていける積極的な方は実需用不動産営業に向いていると言えるでしょう。

 

●投資用不動産営業に向いている人


一方投資用不動産営業は、不動産や投資に詳しいお客様も多いため、自分の知識を上回るような質問が飛んでくることもしばしばございます。知らなかったことが多い分、自分の知識が増え、営業スキルが磨かれている感覚を味わえます。そのため自分の営業スタイルの部分だけではなく、金融や不動産以外の投資の知識など勉強していくことが苦ではない方が向いていると思います。


 

最後に


いかがでしたでしょうか?今回は実需用不動産営業と投資用不動産営業の違いについてご紹介させて頂きました。どちらにも異なるやりがいや大変さがありますが、上手く営業ができて契約に繋げられた時の喜びは実需用不動産営業も投資用不動産営業も計り知れないでしょう。

中には「営業は大変」という印象を持つ方もいらっしゃり不動産営業への転職自体を検討していなかったり、現在不動産営業をやっているけれども別の職種への転職をご検討されている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、営業の仕事で成果をあげてその楽しさを知ることができれば、他の仕事で物足りなさを感じるくらいのめり込むことができるはずです。実際にお話を伺った不動産セールスの方はこれからも営業をやっていきたいということや、不動産営業の楽しさや深さについてイキイキとお話してくれました。

営業職において鍛えられるコミュニケーションスキルは、お客様とのコミュニケーションに限らず、法人に対しての交渉や職場の人との関わりなどにも応用させることができます。数ある業界の営業職の中でも不動産業界の営業職はかなり高額の商材を取り扱うことが多いため不動産業界の営業職を経験していれば営業スキルはかなり高くなり、他業界の転職後にも活躍できること間違いなしです。


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