採用業務のデジタルツール導入率は43.8%。面接は対面とオンラインが半々の状況
採用活動におけるデジタルツールの導入状況を聞くと、デジタルツールを導入したことのある会社の割合は43.8%となった。従業員が300名以上の大企業に限定して見ると、52.1%と半数を超える結果となった。
続いて採用だけでなく人事部門業務全般でのデジタルツールの導入状況ついて、具体的に導入をした業務内容を聞くと上グラフの通りとなった。「勤怠・給与管理ツール」61.1%、「Web面接のためのオンライン会議ツール」53.6%、「採用ページCMS」28.9%が最も導入されている上位3つの分野となった。
「勤怠・給与管理ツール」や「採用ページCMS」などはコロナ禍前から比較的導入が進んでいた一方で、「Web面接のためのオンライン会議ツール」や「入社時のオンライン書類提出ツール」などは1回目の緊急事態宣言後(2020年4月7日)から導入を開始した企業も多くいるようだ。
また面接時のデジタルツールの実態として採用面接をオンラインで実施したかを聞いたところ、全体平均で対面面接が51.6%、オンライン面接が48.4%という結果となった。大企業と中小企業の差もほとんどなく、いずれも対面とオンラインが半々という実態が明らかになった。
一方で入社手続きの方法については、オンラインで行っている企業はわずか31.4%にとどまった。特に中小企業は26.8%と低く、採用面接に比べ入社手続きはオンライン化が進んでいないことがわかる。
76.1%がデジタルツールの効果を実感。転職者の満足度も高いことが判明
デジタルツールの効果実感度を企業の人事部門に聞くと、全体で76.1%が効果を実感しているということがわかった。特に「業務スピードの効率化につながったから」(55.5%)、「リモートワーク化での働き方にフィットしたから」(38.9%)、「遠方の方の採用をしやすくなったから」(38.9%)という声が多く聞かれた。
一方で「特になし」と答えた人が11.4%に上り、特に中小企業は5分の1が効果を実感していないことがわかる。デジタルツールの導入は特に大企業で効果が実感されているようだ。
デジタルツール活用の面接や入社手続きの満足度について、人事部門に加え直近1年以内に転職をした人にも聞くと、平均で72.3%が「満足している」「やや満足している」と回答した。特に「満足している」と回答した転職者の割合(35.5%)が、「満足している」と回答した人事部門の割合(22.5%)よりも高く、デジタルツールが転職者にとって便利だと感じられていることがわかる。
人事部門の満足度が低い原因としては、「面接時、人間性がわからない」「自社の説明が伝わっているか不明」などが挙げられた。
86.1%がデジタルツール活用の定着を予測。幅広い分野でDX化が進む
新型コロナウイルスの感染拡大によりやむを得ず採用活動にデジタルツールを導入した企業もあるであろう一方で、同調査ではコロナ収束後にデジタルツール利用が定着すると思うかという質問もなされた。
結果として、全体で86.1%が「コロナ収束後は、現在以上にデジタルツールの利用が進むと思う」「コロナ収束後も、現在と同程度デジタルツールの利用が定着すると思う」と回答し、非常に多くの人がデジタルツールの普及を予測していることがわかる。
このような採用形態の変化について、「エントリーの数が圧倒的に増加、全国各地から応募が集まるようになった」など応募数の増加がメリットとして多く挙げられており、結果として良い人材が採用できるという声もある。
一方で志望動機が曖昧になった、辞退されるケースが増えたなどのデメリットがあるようだ。
また現在のデジタルツール導入状況を見ると導入率が比較的低かった「入社時のオンライン書類提出ツール」「シフト管理ツール」「アルバイトの採用管理ツール(求人表記除く)」も、80%以上の人が今後普及すると予想している。
デメリットの克服法を考えつつ、デジタルツールを導入していくことで企業・応募者の双方にとって効率的で満足のできる採用活動ができると良いだろう。
■調査概要
・調査方法:インターネット調査
・調査対象:首都圏(1都3県)+北海道、愛知県、大阪府、福岡県
20~69歳男女
条件1 ホワイトカラーかつ正社員のみ
条件2 所属は①直近1年以内転職者または、②人事部門
・調査期間:2021年07月16日(金)〜2021年07月26日(月)
・調査人数:969名 (①直近1年以内転職者 515名 ②人事部門 454名)
参照:PRtimes