株式会社リクルートは2021年第二四半期(4月〜6月期)の転職決定者を対象に、「転職時の賃金変動状況」をまとめ発表した。

「前職と比べ賃金が明確に(1割以上)増加した転職決定者数の割合」を算出し、リーマンショック時や新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年3月との違いなどが考察された。
 

コロナ禍からは回復が見られ、IT系エンジニアは過去最高に


調査によると2021年4〜6月期の「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合」は29.1%となった。グラフを見ても、リーマンショックの影響を受けた2009年(18.9%)やコロナ禍が始まった2020年4〜6月期(27.3%)と比較しても、回復傾向にあるようだ。

特にIT系エンジニアは、調査され始めた2008年4〜6月期以来、過去最高値になった。
 

業況と人員不足と比較すると?


株式会社リクルートは加えて、「前職と比べ賃金が明確に(1割以上)増加した転職者の割合」(右軸)を、日本銀行公表の全国企業短期経済観測調査における業況判断DI/雇用人員判断DI(左軸)をグラフにまとめて発表した。

業況と雇用人員の変動は、転職時の賃金変動と比較的一致している一方で、10年前と比べて乖離が広がっているようだ。業況と比較して人材不足が著しいことがわかる。

コロナの影響で、6月期に業況感はリーマン・ショック時と比較しても急激に下落している。雇用人材不足感、賃金が明確に増加した転職者の割合も、業況感と同じく下落はしているものの、リーマン・ショック前のピーク水準は維持している。

今後コロナ禍から脱却し業況が更に回復した際に、企業にとって人員確保が課題となるかもしれない。

参照:PRtimes